日本における「ノベルティ」の歴史

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日本でノベルティに相当するものは、天和3年(1683)越後屋三井(現在:三越百貨店)という呉服屋が配布した「引札」というものが発端であったと言われています。(諸説あります) これは、「古い商売のやり方を改めて
新しい商法で商売を行います」と言った内容の現代でいう「チラシ」のようなもので、この事で越後屋に客が集中し大繁盛したという記録があるそうです。

古い商売では固定客、常連客が中心の取引方法でしたが、不特定の大衆に引札を配布したことで広い購買層を取り込んだのです。今でいう「ベタづけ」「ばら巻き」と呼ばれる類のノベルティの原型といえるかも知れません。やがて、経済の成熟と社会背景の変化も絡み合って、いろいろな業種で趣向を凝らした引札が登場してきます。当時の庶民からすれば「ノベルティ=珍しい物の意味」であり、大きな関心を持たれたものであったのです。

昔もチラシとノベルティは商売繁盛のツールだった。

初期の引札は、墨で筆書きされたものであり、次第に2色、やがて印刷技術の発展とともに浮世絵の風合いのもの、そして現代でいうキャッチコピーの先駆けなどを加えたものへ移行し、近代広告の元祖となっていくのです。絵の余白に商店名を入れて宣伝するようになり、絵も当時では人気の画家が描いたものを使いました。

それは、普段目にする絵ではすぐに捨てられしまうからです。娯楽の少ない時代、「これはいいものをもらった!」と家に持って帰って楽しんだようです。なかには、引札の出来があまりにもいいので全品貰おう!と、その店で買い物をする客まで現れたそうです。この様にして、引札は立派にノベルティとしての機能を果たしてきました。

発展形の引札には、すごろくになったりして、もらった人をより楽しませるように工夫されました。既に現代でいうノベルティのかたちとなっています。もらった人も配った人も嬉しい!メリットがあるのが、ノベルティの本来の姿です。 現代社会に生きる私たちも、昔の人々もその行動や感性は、あまり変化していないように思われます。


ちなみに「引札」の語源は、「客を引き込む札」、「気を引く札」、古語で「配る」ことを「引く」と言っていたので「配る札」の意味で使われたなど諸説あるようです。世界史では、古代ギリシャで自分の商品を買ってもらうために他の物品を配ってサービスしていたという説があります。これはノベルティというより「おまけ」としての意味合いが強く、食べ物や飲み物を少し多めに渡したという程度ものであったようです。以上のようにノベルティは、手にとった人にとって何らかの意味で有益・有用であることが大切な条件であると言えます。

普通の社会生活や普段の生活の中で使っているものにも、ノベルティグッズが多く存在してます。「これはノベルティグッズだ!」と都度認識しながら、使っている人はいないでしょう。私たちが部屋の中を一度見回すと、ボールペン、ペン立て、メモ用紙、クリアファイル、カレンダーなど「そういえばいつの間に?」と思うものもあるでしょう。「たぶん○△□会社でもらったんだ」とある程度記憶しているはずで、どこかの会社の名前とロゴが載っていたりします。
つまりそれが販促品 ノベルティなのです。


【参考文献】
アルテス リベラス(岩手大学人文科学部紀要)
第86号 2010年2010年6月 41頁~67頁

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